紙の日記帳が楽しすぎてブログのことを忘れてた。管理の面ではデジタルに書いた方が楽な部分もあるので、たまには書こう、ということで久しぶりの更新。
2023年もあと3週間ほどで終わり。年末は大好きなはずなのにこの時期になると、もう少し時間が戻ってほしい気持ちになる。
今年は約60冊の本を読みました。中でも良かった5作品をピックアップ。
3月に四国あたりを旅していた時に読んだ本。松山か今治のブックオフできれいな状態のやつが100円で売ってたので買った。
「ノルウェイの森」を読んで村上春樹をすべて読みたいという気持ちが芽生え、2作目に手に取ったのがこれ。「ノルウェイの森」とは打って変わってファンタジーな世界観に驚いたが、のちにこれこそが村上春樹ワールドだと知る。(ノルウェイの森は春樹の中でも異質なリアリズム作品)
2章でいきなり理解できない展開になるところや、2つの物語が交差する瞬間、当然のように出てくる性描写が刺激的で村上春樹にのめり込むには十分すぎる作品だった。
2.街とその不確かな壁/村上春樹
今年の春に出た村上春樹の新作長編。読んだのは11月。ほとんどの春樹の長編を読んだ後に満を持して読んだわけだが、ワクワクがすごかった。「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」とそっくりな世界観が出てきて、8月に同書を読んだばかりだったので記憶に新しく、非常によく楽しめた。
7月ごろに「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」という2013年の春樹の長編も読んだのだが、これはあまり楽しめなかった。というのも、文章と世界観が村上春樹らしくないという印象を受けたからである。この経験から、”春樹の最近の作品はビミョーなのか?”と思ってしまっていた。
しかし、この作品は読み始めからそんな疑念が吹き飛ぶほど春樹の魅力が詰まっていた。おもしろかった。
春樹ワールドをここまで堪能できる長編を同時代的に楽しめたのは今年の貴重で重要な体験の1つであったといえる。
村上春樹はもう『おじいちゃん』であるが、生きている間にもう1つや2つくらい長編を出してほしいものである。
3.踊る小人/村上春樹
春樹の短編である。「蛍・納屋を焼く・その他短編」に収録。
春樹の独特な世界観にどっぷりハマっていたので、短編も読んでみることにした。「パン屋再襲撃」から読んでいったのだが、わけが分からなかった(笑)
でも、それがいい。と思って短編も読み漁っていてたどりついたのがこの「踊る小人」であった。
象を組み立てる工場に勤務する主人公(この時点で意味不明)が小人に力に頼って女性を手に入れようとするという話。終盤の不気味さと、後味が最高。3日連続で読んだ。定期的に読みたくなる作品。
4.「グレートギャツビー」を追え/ジョン・グリシャム(著)、村上春樹(訳)
また村上春樹関連。今年は村上春樹にハマりすぎて翻訳作品にも手を出す始末であった。これ、とてもおもしろかった。
今まで何回かいわゆる『外国人作家の小説』に挑戦してきたが、毎回途中で断念していた。理由は、登場人物に感情移入できない、またはそれ以前に名前が覚えられない、といったことである。カタカナで表記される名前が何個も出てくるのが苦痛だったのだ。
しかし、10月に読んだ「同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬」でそれを見事に克服することができた。そのあとに手に取ったのがこの「グレートギャツビーを追え」である。
桑田佳祐がカバーした歌は桑田佳祐の色に染まるように、村上春樹の翻訳したこの作品は春樹ワールドの色が垣間見える瞬間が所々に合って楽しめた。
(尚、このあとに村上春樹翻訳の「グレートギャツビー」を手に取ったのだが、これは上述の理由で投げてしまった)
5.4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて/村上春樹
春樹の短編は、意味不明なものと比較的わかりやすいものどちらもあるが、この作品は後者である。綺麗な文章。新海誠の「君の名は。」の元ネタなのではないかとも思える。
春樹の短編の中でも3本の指に入る名作だと思う。